先日、谷崎潤一郎著「痴人の愛」を読みました。
大森が舞台の小説です
実はこちら、大森が舞台の小説です。もっとも、大正の頃に書かれたものですから、今とは環境が違います。主人公の河合譲治は大井町に勤めるサラリーマンです。浅草のカフェで出会った少女ナオミと、ひょんなことから二人で暮らすことになります。二人は大井町、大森、蒲田と家を探し回ります。ようやく大森で手ごろな洋館を見つけ、二人はそこで暮らし始めるのです。ちなみにナオミの実家はたしか千束あたりという設定でした。僕は今現在大森在住ですから、この辺だろうか、あの辺だろうか、と想像を膨らませながら楽しく読みました。
言わずと知れた名作ですから、あらすじや書評はそこら辺にごろごろと転がっています。ネットで調べると、どろどろとした難しい恋愛ものを想像してしまいがちですが、僕はそうは読みませんでした。譲治もナオミも生き生きとしていて、悲惨なはずの結末もどこか快ささえ感じられるのです。主人公譲治の辿った運命は、本人からしてみればたまったものではないでしょうが、軽やかに物語が進むのはやはり作者の腕でしょうか。二日ほどで一気に読み終えてしまいました。
よかったら是非読んでみてください。